異業種からドライバーに転職した人はなんと7割超え!現役ドライバーに福利厚生やインセンティブの有無、キャリアプランなどを聞いてみました
タクシーや電車、バス、配送トラックなどは私たちの生活と切り離すことができない、もはや街のインフラといっても過言ではありません。そして、そのインフラを実際に現場で動かしているのは、ドライバーと呼ばれる職業の人達です。
ドライバーと聞くと、どうしても長時間労働や事故のリスク、そもそも資格や技術などスキル的な部分でハードルが高いと感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、その一方で、ドライバーはその人に合った柔軟な働き方が実現できたり、運転が好きな場合は仕事内容自体を楽しむことができたり、魅力ある仕事のひとつでもあります。
今回は、ドライバーの実態を探るべく、現役ドライバー54名にアンケートを実施。具体的な仕事内容や福利厚生、仕事のやりがいなどリアルな声を聞いてみました。
ドライバーってどんな仕事?
「ドライバー」とは、自動車や車両を運転する職業全体を指す言葉です。なので、ドライバーと一言に言っても、業務内容は業界によって大きく変わってきます。ここではまず、代表的なドライバーの業界についてご紹介します。
・トラック(大型、中型、小型含む)
・バス
・タクシー
・送迎
特に昨今は物流の人手不足問題なども多く取り上げられているため、ドライバーと聞くと物流での配送をイメージする方も多いのではないでしょうか。実際に今回の調査でも、トラックを含めた「配送」業をしている方々は74.7%と大多数を占めていました。
では、そもそもドライバー配送とは具体的にどのような種類の物品を取り扱うのでしょうか。これも業界によって大きく異なってきます。一例にはなりますが、今回の調査では以下のように様々な荷物の配送をしている人たちの声が集まりました。
「Amazonの荷物を配達しています」
「IT関連企業における個人情報を含む書類等の輸送業務です」
「ガスボンベを個人宅、営業店、家畜用などへ配達しています」
「コンビニ店に運ぶルート配送です」
「パン工場で作られたパンを、学校、病院にお届けする仕事です」
「大手スーパーマーケットチェーンの東京、神奈川、山梨一部の各店舗へ主に常温食品の配送」
配送以外でも、回収や集荷、送迎など業務内容は多種にわたり、それによって乗る車種も変わってきます。
「産業廃棄物を運ぶ4tパッカー車や、3tダンプ車。あとは4tユニック車などを使って回収してくる仕事です。」
「放課後児童デイサービスの送迎ドライバーです。下校した児童を小中学校や支援学校にてピックアップし、デイサービスの店舗に送迎しています」
「基本は某通信会社関係の電線・光ケーブル・電柱・鉄柱・同軸ケーブルなどの運搬、エレベーター機材の現場への運搬、建築車両の運搬などです」
ドライバーによっても、業界や業務内容が違うだけで、必要な免許や資格、スキルも大きく変わってきます。ドライバーの仕事に興味がある人は、まず自分の持っている免許や資格に合う職種を探してみたり、逆に憧れの仕事があればそのために免許や資格取得に動いてみるのがいいでしょう。
ドライバーを始める前はどんな仕事をしていた?
ちなみに、免許や資格が必要という点でドライバーに対してハードルの高さを感じる人もいるかもしれません。しかし、例えば今回の調査では前職でドライバー以外の仕事をしていた人は68.52%と非常に高い割合でした。具体的な前職の業種は以下のようになっています。
また、ドライバーに転職しようと考えた人達に理由を聞いてみると、以下のような意見が集まりました。
「もっと自分のペースで働ける仕事を探していた時に、タクシーという働き方が柔軟で、自分に合っていると感じたためです」
「営業職ではノルマや人間関係のストレスが大きく、もっと自分のペースで働ける仕事を探していました。運転がもともと好きだったため、個人で完結できる配送業に魅力を感じて転職を決意しました」
「前職は家電量販店で販売員として勤務していましたが、不規則なシフト制と土日祝日が基本的に休めない勤務形態、そして個人ノルマに対するプレッシャーに精神的な疲労を感じていました。元々自動車の運転が好きで、一人で集中して業務に取り組める現在のドライバーの仕事に魅力を感じたことが大きいです。また、デスクワークよりも体を動かす仕事に就きたいという思いもありました。物流業界の安定性や、努力が評価されやすい点も転職を決意した理由の一つです」
「運転が好き」という気持ちは大前提の上で、柔軟な働き方や自身の性質に合った環境などに魅力を感じた人も多いようです。
福利厚生やインセンティブなどは充実してるの?
ドライバーは、営業職のようにわかりやすい数値目標などを設定することが難しいドライバー職ですが、インセンティブなどはあるのでしょうか。今回の調査では、「給与やボーナス以外のインセンティブ」については「ない」と答えた人が75.93%と大多数を占めました。ドライバー業界において、インセンティブ制度は一般的ではないのかもしれません。
一方で、タクシーにしぼって見てみると、「ある」と答えた人が44.44%と平均より多くなりました。具体的には以下のような場面でもらえることがあるようです。
「月の売上に応じた歩合制で、一定額を超えると歩合額が上がります」
「乗客から指名を受けることがあるのですが、常連のお客様からチップをいただくことがあります」
「無事故・無違反で手当をいただくことができます」
また、配送業もインセンティブが「ある」と答えた人は36.36%と、平均に比べるとやや多い結果に。
「一定件数以上の配達を達成したときや、クレームゼロでその月を終えたときに報奨金をいただくことができます」
「休日や大型連休、セール期間にインセンティブが上乗せされます」
「繁忙期の配達件数や、特定の時間内に配達完了した件数に応じてインセンティブが支給されます。クレームゼロや交通違反ゼロを達成した月には、安全運転手当も加算されます」
ドライバーは長時間の運転や事故などのリスクもある職業のため、その分企業が適切な環境やフォローアップ体制を整えるのは重要です。一方で、今回の調査では、「福利厚生が充実していると感じますか」という質問に対しての回答は、「とてもそう思う」「ややそう思う」合わせて47.5%、「あまりそう思わない」「全くそう思わない」は合わせて59.26%と、あまり充実していると思わない人の割合の方が上回る結果となりました。
具体的にどのような点が不満なのか聞いてみると、以下のような意見が集まりました。
「フリーランスのため、健康保険や有給制度などがなく、自己負担が多い点が不満です。事故や病気に備える制度がないのも不安です。」
「一般的かもしれません、デスクワークだとオフィスにコーヒーなどが置いてありますが、ドライバーは基本全て自己負担です、会社の社員と食事や飲み会も少ないと思います」
「やはり残業のような拘束時間が長いのでそこが不満です。休みも取りづらく、家庭との両立が難しいと感じます」
ドライバーならではの負担はもちろん、様々な雇用形態があるからこそ正社員が多い業種に比べて福利厚生面でのギャップが生じてしまうのかもしれません。
一方で、福利厚生が充実していると回答した人からはこんな意見もありました。
「会社が提携している宿泊施設やレジャー施設を割引価格で利用できる制度があります。また、定期健康診断とは別に、年齢に応じて人間ドックの費用補助を受けられる点はありがたいです。中型・大型免許やフォークリフト運転技能講習などの資格取得支援制度も用意されています。」
「社会保険や健康診断などの基本的な制度に加え、交通費の支給、勤続年数に応じた特別手当、休暇取得制度も整っているので、充実していると思います。」
「家族手当や住宅手当などの支給もあり、長く安定して働けると感じています。また、退職金制度もあり将来に安心感が持てるのが魅力です。安全運転に努めている社員には表彰制度もあり、モチベーション維持にもつながっています。」
体力や運転スキルなど体が資本のドライバー業だからこそ、福利厚生面の充実は企業選びを考える上でも重視した方がいいポイントかもしれませんね。
ドライバーのやりがいって?
ドライバーは、資格やスキルが必要な技術職であることからも、仕事へのやりがいは強く感じるかもしれません。実際に、今回の調査でも仕事へのやりがいを感じるかという問いに対して、「とてもそう思う」「ややそう思う」と答えた人は合わせて66.67%と過半数を超えていました。
一方で、運転スキルが必要という点は共通しつつも、業界によって仕事内容も大きく変わってくるドライバー職。仕事内容が変われば、仕事へのやりがいを感じる場面も変わってきます。具体的に業界によって仕事のやりがいはどのような部分にあるのでしょうか?それぞれ業界ごとに聞いてみました。
<トラック・配送>
「お客様から直接「ありがとう」と声をかけてもらえる瞬間や、効率よく配送を終えられたときに達成感を感じます。時間通りに配達できたときも自己管理の成果を実感できて嬉しいです」
「今までいろんな仕事を転々としましたが、人から「ありがとう」とか「待ってました」とか言われたことがなかったので、人のためになってると感じます」
<タクシー>
「リピーターのお客様に「またあなたの車に乗りたい」と言われたときや、困っている人の役に立てたと実感できた時です」
「お客様との会話が楽しいですし、安心して乗ってもらえることも嬉しいです」
<送迎>
「デイサービスの従業員に「いってらっしゃい」「おかえり、ありがとう」と言われる時です」
自分自身で完結することに達成感を感じたり、お客さんとのコミュニケーションで喜びを感じたり、仕事へのやりがいは人それぞれです。業界によって、その仕事特有のやりがいがあることがわかりますね。
ドライバーのキャリアプランはどう描く?
ドライバーは現場で働く仕事なので、どうしてもキャリアアップなどのイメージがつきにくいかもしれません。しかし、業界や雇用形態によっては、昇給や異動、ジョブチェンジなど様々な選択肢が存在します。具体的に現役ドライバーはどのようなキャリアプランを考えているのか、今回の調査でも聞いてみました。
「これからはより専門的な知識を身につけて社内での役割を広げたり、将来的には運行管理や新人教育など別の職種にも挑戦したいと考えています」
「まず安全運転を徹底し、信頼と実績を積み重ね、その上で、中型・大型免許やフォークリフト、運行管理者などの資格を取得することで、より大きな車両や管理業務へのステップアップを考えています」
「現在は4トントラックに乗っていますが、今後は収入アップも考えて、大型の免許取得も考えています」
「今はデリバリープロバイダに所属していますが、いずれはフリーランスで稼働し、他の配達系も掛け持ちしたいと考えています」
資格を取得してより高収入の業界にキャリアアップしたり、運転をする側から管理する側にまわったり、もしくは正社員から個人事業主へと転換したり、ドライバーのキャリアプランは様々です。将来自分がなりたい立場や求める環境などから逆算してドライバーとしてのキャリアを改めて考えてみるのもいいかもしれませんね。
運転技術や資格が活かされるのはもちろん、自分ひとりで目標を達成することもできたり、お客さんとのコミュニケーションを楽しむことができたり、業界の幅広さから自分に合った仕事内容を選ぶことができるのもドライバーという仕事の魅力かもしれません。もしドライバーとしてのキャリアに興味がある方は、転職サイト「PR市場」のドライバー専門求人でもドライバー求人に特化して掲載していますので、よければ参考にしてみてください。